子猫の住む家店内
       今日もまた、女子高生がわらわらと店の外から、店内を覗いている。
 
       ガラスケースから、花を取り出しているオミ。
       オミの後ろに立つ凰華。
    凰華「ねぇオミくん、何か怖いことに巻き込まれてるんじゃない?」
    オミ「…いや」
       背を向けたままのオミ。
    凰華「でも、最近オミくんの周りで事件ばっかり起きるし…私、心配なの」
 
       少し離れたところで立っているヨージ、横でイスに座ってるケン。
   ヨージ「おいおい、なんかすっかり出来上がってる、ってカンジじゃねぇか?」
    ケン「妬いてんのか?ヨージ」
   ヨージ「店の中でデレデレするなって言ってやれよ、アヤ」
       アヤ大きな鉢植えの花を抱えて、2人の前を通り過ぎる。
    アヤ「好きにさせてやれ」


Mission 12 Abschied  ―何故…b


路上        配達用のピンクのバイクに乗っているオミと凰華。     凰華「私が風邪をこじらせて入院したとき、父が御見舞いに来てくれたの。その時、何を持ってきてくれたと思        くれたと思う?」     オミ「さあ」     凰華「折鶴なの。子供が作ったみたいに下手なんだけど、私のために作ってくれた、って気持ちが、        すごく伝わってきたわ」     オミ「優しいお父さんなんだね。凰華さんもお父さんの事が好きなんだな」     凰華「だーいすき。でも一番はオミくん」        オミの腰に回した手に、ぎゅっと力を込める凰華。     オミ「えっ?!」        焦って手元が狂うオミ。バイクが右往左往してしまう。     凰華「オミくん!」     オミ「ご、ごめん」     凰華「ねぇ、明日両親と食事することになってるんだけど、オミくんも一緒にどう?」     オミ「え?でも、せっかく3人で食事するのに、悪いよ」     凰華「場所は、ホテルベルモンテにあるイタリアンレストランよ」        少し離れて後ろから、赤い車がつけて来ている。     凰華「実はもう、1人増えるって連絡済みなの」     オミ「えぇー?」     凰華「父もオミくんに会うの楽しみにしてるわ」        ふいに脇を向く凰華。     凰華「あ、行き過ぎよ。ストップストップっ」
凰華のマンション        さっきオミが手にしていた花が、玄関脇の花瓶に飾られている。        凰華は上で、オミは靴を履いたまま立っている。     凰華「きれーっ、さすがオミくん。ママより上手だわ」     オミ「じゃあ、僕はこれで…」     凰華「ちょっとぉ、それはないでしょ?上がってお茶でもどう?」     オミ「え…」        びびって一歩下がるオミ。     凰華「大丈夫、襲ったりしないから。ね?」     オミ「あ…いやぁ、まだ、仕事中だし…」     凰華「そーお?残念ね。じゃ、時間は午後7時。父って時間にうるさいから、遅れないでね」        オミ俯いて小さな声で     オミ「だからそれは…」     凰華「だーめ。食事の後は、2人で映画というスケジュールになっております」        映画のチケットを見せて     凰華「このチケット、無駄にはしないでね」     オミ「んー…」        困った表情のオミ。
マンションの外        外はもう夕暮れ。        オレンジの陽を浴びて、マンションから出てくるオミ。     オミ「まいったなぁ。凰華さんてば強引なんだからぁ」    シュル「まったくだね」        声がする反対側の歩道を見る。     オミ「誰だっ!」        木の影から、シュルディッヒが現れた。    シュル「オレだよ」     オミ「お前はっ!」    シュル「若いってのはいいねぇ」     オミ「何っ!」    シュル「しかし、2人の兄を殺したっていうのにデートとは、呑気なもんだぜ」        怒りで歯を食いしばるオミ。    シュル「お前はあの凰華ちゃんに恋しちまってるだろ。確かに、とお前は今心の中で頷いたな」    シュル「お前は雅史と広史を悪党だからといって、殺してしまったよな」        思い出し、ハッとするオミ。    シュル「だがヴァィスであるお前はなんだ。兄弟殺しの殺人鬼じゃねぇか」        雅史、広史、玲司の顔を思い浮かべ、オミは愕然とする。     オミ「…僕が…殺人鬼…」    シュル「そうさ。でなきゃ実の兄を殺したり、ヴァイスの仕事で次々と殺人を重ねたりできねぇハズ        だろ」        オミ耐え兼ねて、ダーツの矢を握る。        すかさずシュルがそれを指さして    シュル「ほらほら、お前の中の殺人鬼が、血を求めて騒ぎ始めたぜ」        何も言えないオミ。    シュル「お前が殺人集団ヴァイスの1人だと、凰華ちゃんに教えてやったら、どう思うかな?」     オミ「ふざけるなっ!」    シュル「はははははっ。怒ってる怒ってる」        オミ矢を構える。    シュル「あー、コワイコワイ。ここはひとまず退散するか」        シュルディッヒ木の上に姿を消す。    シュル「ゲームは始まったばかりだぜ。続きを楽しみにしてな」        散り落ちる木の葉。シュルの姿は、もうない。     オミ「凰華さんに…凰華さんに知られたら…」        肩を震わせている。     オミ「くそぉっ!」        投げた矢は、落ちる葉を射貫き、シュルの立っていた木に刺さった。
凰華の部屋        鼻歌を歌いながら、部屋中に洋服を広げている凰華。     凰華「どれがいっかなぁ…。パパに合わせるか、オミくんに合わせるか。難しいわぁ」     凰華「でもやっぱり、オミくんよね。ウフ」
子猫の住む家店内(閉店後)     ケン「オミの奴どうしたんだぁ?帰ってくるなり、自分の部屋閉じこもっちゃって」        テーブルにケンとアヤ。少し離れてヨージが花をいじっている。    ヨージ「おおかた、凰華ちゃんとケンカでもしたんだろ。晴れのち雨ってね」     ケン「やけに深刻な顔してたけど」        オミから何か感じとったのか、真面目な表情のアヤ。    ヨージ「恋する男はみんなそういう顔になるの」
オミの部屋        ベッドで眠るオミ。        夢  ビリヤードをする広史、雅史、そしてオミ。           球が転がるのを見ているオミ。           オミが一歩踏み出そうとすると、広史がそれを止め、2人がオミに銃を向ける。        オミ「うわぁぁぁっ!」           そして2人を矢で射貫いてしまう。           台の上に倒れる2人の兄。        夢の中で穴に球が落ちる音で、目が覚めた。        目覚めてもなお、怯えるオミ。ぎゅっと目を閉じる。
公園        天気のいい公園。その近くの歩道を犬と散歩する凰華。        急に車道の赤い車が止まり、中の人が話しかけてきた。    シュル「ほー、可愛い犬だね」        ポカンとしている凰華。    シュル「よう」        ようやくパーティーの夜、オミを連れ去られた事を思い出した。        離れようとする凰華。    シュル「おおっと、怖がることはないぜ。オレは君のお父さんのボディーガードなんだ」     凰華「え?じゃ、どうしてあのときオミくんを?」    シュル「ま、いろいろと複雑な事情があってね。…それよりも、君の大好きなオミくんの事でビッグ        ニュースがあるんだよ」     凰華「オミくんの…?」    シュル「実は、オミくんの本名は鷹取衛といってね、鷹取玲司の…つまり、君のお父さんの三男にな        るんだ」        愕然とする凰華。    シュル「そう、君とオミくんは兄妹なんだ」        公園の噴水が飛沫を上げる。    シュル「オレとしてもつらいところなんだよ、こんなことを言うのは。かといって、2人がラブラブ        になった後で分かるほうが、もっと辛いだろ?」     凰華「…ウソ、ウソよ」    シュル「こんなウソついてどうする。信じられないのなら、誰かに確かめてみるんだな」    シュル「そう、今母親の顔が浮かんだ。それが正解だ」        驚く凰華。     凰華「どうして…?」        車の窓が閉まっていく。    シュル「多分、母親は知らないと答えるはずだ。そのときは、パパに聞くといい」    シュル「お前の知りたい答えが分かるはずだ」        車は走り去り、そこに立ち尽くしている凰華。     凰華「オミくんが…」
料亭「榊」        まだ、準備中と思われる店内。        カウンターに座っている凰華と、内側で準備をしているしず華。     凰華「ねぇ、ママ。パパには衛さんという、私の兄さんがいるの?」        焦りの表情を見せるしず華。        俯いたままの凰華に、ゆっくり振り向く。    しず華「え…そんな、聞いたこともないわ」     凰華「ママ、私本当のことが知りたいの。オミくんは、私の兄さんなの?」    しず華「一体、誰がそんなことを?」        凰華顔を上げて     凰華「ママが教えてくれないのなら、パパに直接聞いてみるわ!」        困惑しているしず華。        思いを絶ち切るように、ぎゅっと目を伏せた。
和室        雅史が持っていたのと同じ、鷹取家の集合写真。    しず華「ほんっとに驚いたわ、オミくんを見た時は」        古いアルバムを広げている。そのうちの1枚だ。     凰華「これ、オミくんだわ…」        手にしている写真を見つめ、呟く凰華。    しず華「オミくん…つまり衛くんは、この写真を撮った数年後、行方不明になったらしいの。だけど、        何故かあの人は、そのことには触れたがらないの」     凰華「ずっと、隠してたのね」    しず華「知らないほうがいい真実も、あると思ったの」     凰華「オミくんが兄さんだなんて…ひどい…ひどすぎる…」        写真に凰華の涙が落ちる。        肩を震わせて、泣いている凰華。
子猫の住む家        店から少し離れた所で立ち止まる凰華。        開店の準備か、中からオミが出てくるのが見える。     凰華「オミくん…」        それでもただ見つめている。    ヨージ「凰華ちゃんかい?なーにしてんの。オミなら店ん中だぜ」        買い物袋を下げたヨージが、後ろから声を掛ける。        黙って俯いてる凰華。    ヨージ「会いに来たんだろ?呼んでこようか」     凰華「いいんです」        走り去る凰華。不思議そうに見送るヨージ。 (店内)        帰ってきたヨージを見つめている3人。    ヨージ「オミ、お前凰華ちゃんに、何か悪いことしたんじゃねぇの?」     オミ「え?」     ケン「オミはヨージとは違うよ」    ヨージ「今そこで彼女、思いつめた顔してたぜ。会ってきた方がいいんじゃないのか?」        花束を握り締めて聞いているオミ。     ケン「店の方なら大丈夫だぜ」     アヤ「ああ」        飛び出して行くオミ。        オミの放った花束を、ヨージがキャッチする。    ヨージ「やれやれ、恋に慣れてない奴がいると疲れるぜ」
街中     オミ「凰華さん…」        凰華の姿を探して、走り回るオミ。        ようやく後ろ姿を見つけ、追いかける。     オミ「凰華さん!」        駆けよって肩を掴むが、人違いだった。慌てて手を放す。     オミ「ごめん…」        再び彼女を探し、街を駆け回る。        立ち並ぶ店の中にも、公園にも、彼女の姿はない。        それでもまだ探し続けるオミ。     オミ[凰華さん…。何なんだ、この気持ちって]        凰華の顔が頭に浮かぶ。     オミ[会いたい。今すぐ]

アイキャッチ:なし CM アイキャッチ:オミ

凰華のマンション
       チャイムを鳴らすオミ。        部屋の中には、座り込んだまま動かない凰華がいる。        肩を落とすオミ。                諦めて元来た道を帰るオミ。     オミ「一体どうしちゃったんだ?」        呟いて、シュルの言葉を思い出したオミ。立ち止まる。    シュル「お前が人殺し集団ヴァイスの1人だと凰華に教えてやったら、どうなるかな」     オミ[まさか…!]
ペルシャの部屋(警察庁内)        たくさんの熱帯魚が泳いでいる。壁を覆うほどの大きな水槽。        デスクに座るペルシャの横には、マンクスが立っている。   ペルシャ「よく来たな、ボンベイ」     オミ「教えて下さい」   ペルシャ「何だね」     オミ「あなたは何故僕の素性を知っていながら、兄弟を殺させるようなミッションを出したのですか?」        ペルシャ、イスから立ち上がり、ブラインドの降りた窓の方を向いた。   ペルシャ「鷹取玲司は副総理という立場を利用して、この日本を牛耳ろうとしている。エスツェット(SS)        という秘密組織の力を借りてな。その目的ために、自分の2人の息子まで悪に加担させたのだ」        黙って聞いているオミ。   ペルシャ「月夜野臣。肉親と戦う辛さはよく分かる。だがこの世には、たとえ親であろうと倒さねばならな        い、悪魔のような存在はあるのだ。どうか、分かってほしい」     オミ「分かりません!あなたに分かるはずがない!僕の…僕の気持ちなんて、あなたには…!」   ペルシャ「いや、私にも分かるよ。何故なら私は鷹取修一。鷹取玲司の弟だ」        振り向くペルシャ。驚くオミ。   ペルシャ「私も鷹取一族なのだ。兄と戦う辛さは私も同じだ」        しばし沈黙。     オミ「…う、うそだ…それなら、何故僕にやらせるんですか!何故自分の手でやらないんですか!あな        たがヴァイスとして、悪魔狩りをしたらいいんだ!」   ペルシャ「私がヴァィス」        静かに俯き、微笑むペルシャ。     オミ「そうです!」        興奮した声のオミ。    ペルシャ「残念だが、私にそんな力はない」     オミ「違う、あなたは自分の手を汚したくないだけなんだ!」        ずっと黙っていたマンクスが口を挟む。   マンクス「オミ、言い過ぎよ」        再び背を向けるペルシャ     オミ「勝手だ。勝手過ぎる!」        オミ、怒って出て行こうとするが、ドアを開けた所でふいに立ち止まり、外を向いたままで問う。     オミ「…もうひとつだけ。何故父は、僕の身代金を払わなかったのですか?」   ペルシャ「それは、私にも分からない」        歯を食いしばるオミ。        重い扉が、ゆっくりと閉じた。
パソコンの前(場所不明)        那岐の手のひらのアップ。        触れずも入力をするキーボード、目を閉じてオミと玲司の写真に手をかざす那岐。        モニターに、合成された2人の写真が表れる。        イスの背に身体を凭れる那岐。     那岐「はぁ、終わった」        横から顔を出すシュルディッヒ。    シュル「おう、さすがは那岐。これからもよろしくな」     那岐「こんな仕事は、もうしないよ」    シュル「人の心を操るのは、最高の興奮だぜ。那岐にもそれを分けてやってるんだ。感謝しろよな」        横で笑っているファルファレロ。        ドアが開いて、クロフォードが入って来る。 クロフォード「シュルディッヒ、何を企んでいる」    シュル「なぁ、知ってるかクロフォード。人の心は蜜の味だってことをよ」 クロフォード「蜜に捕らわれすぎて、そばに蜂がいるのを忘れないことだな」    シュル「ちぇっ、面白味のねぇ奴」
街中        夜の街、ビルの時計が19時を表示している。        その下を歩いているオミ。        凰華の言っていたイタリアンレストランを覗くが、彼女の姿はない。        再び歩き、映画館に向かう。        映画館前の階段を下りる(入口が下にあるらしい)それを後ろから見ている凰華。     凰華「オミくん…」    シュル「よっ」        後ろからシュルが凰華に声をかける。          時計を見ながら、入口に立っているオミ。(その画面にケンの声がかぶってくる)     ケン「ヴァイスの諸君。月夜野臣、本名鷹取衛は→
子猫の住む家        パソコンのモニターには、那岐が合成していた写真が写っている。        その文章を読んでいるケン。後ろで立って見ているヨージ。     ケン「→鷹取玲司が、ヴァィス抹殺のために送り込んできたスパイである。さらに詳しい証拠が見たけ        れば、今夜0時、港公園に来い」    ヨージ「なんだこりゃ」     アヤ「ガセだろ」        ソファに座って新聞を開いているアヤ。     ケン「一体誰が…ヴァイス専用の回線に、どうやって侵入して来たんだ?」    ヨージ「なんか…オレたち、ヤバくねぇか?」     ケン「かなり」        腕時計を見るアヤ。     アヤ「今からだと、マンクスに連絡を取ってる時間はないな」    ヨージ「とりあえず、オミを呼んでみるか」        ヨージ携帯を取りだす。    ヨージ「しっかし、オミが鷹取玲司のスパイってのは、よくできてるよな」     ケン「ヨージ!」    ヨージ「冗談だよ。あ、通じない」
映画館前        オミの前で清掃員が掃除を始めている。        階段の上から見つめる凰華。そのすぐ後ろにシュル。     凰華「オミくん…」    シュル「もうあの男には近付かない方がいいぜ」     凰華「でもこのままじゃオミくんが…」        溜息をつくシュル。睨む凰華。    シュル「仕方がないな。実はこのことだけは隠しておこうと思ってたんだが、あの男は人殺しなんだよな」     凰華「え…」    シュル「ホテルであの男をさらったのも、君のお父さんを助けるためだったんだぜ」     凰華「ウソ…そんなのウソよ!」    シュル「君の心は正直だ。そういえばあの時…と、思い浮かんだことがあるんじゃないのかな?」     凰華「オミくんは事件に巻き込まれただけよ!私はオミくんを信じてるわ!」    シュル「美しいねぇ。だけどガラス細工の愛情は、いつか砕け散ってしまう。        …今から証拠を見せてやるぜ」
車内        運転席にアヤ、助手席にヨージ、後ろにケン。        高速を走っていく。
映画館前        閉館になり、真っ暗な階段を上ってくるオミ。        上りきった所で携帯が鳴る。     オミ「凰華さん?」    シュル「ハズレ」     オミ「ハッ、お前は!」    シュル「大事な話があるんだよ。ヴァイスの連中が、可愛い凰華ちゃんを処刑しようとしてるんだぜ」     オミ「なにっ?」        路上に止まっている赤い車。    シュル「凰華がヴァィスの正体を知っちまってさ、もう大変」
赤い車(車内)        縄で縛られ、口を塞がれ、後部座席に横たわる凰華。        運転席で電話しているシュル。    シュル「もっとも、彼女にそれを教えたのはオレなんだけどな」          電話を持ったまま固まっているオミ。電話から漏れるシュルの声。    シュル「聞いてるか、処刑場所はな…」
港公園        霧の中を歩いてくる3人。     アヤ「いたか?」    ヨージ「いや」     ケン「一体、相手は誰なんだ」        立ち止まっていると、悲鳴が聞こえる。     凰華「助けてえっ、誰か助けてー!」     ケン「今のは」    ヨージ「凰華ちゃん!」        走り出す3人。          公園中央と思われる広場まで来ると、正面の階段の上に凰華が木に縛られているのが見えた。     凰華「助けてーっ」    ヨージ「凰華ちゃん!」     ケン「助けなきゃ」        駆け寄ろうとすると、脇の方から声がした。     オミ「待ってよ」        少し離れた所に立っているオミ。    ヨージ「オミ!お前、どうしてここに」     オミ「みんなこそ、何をしてるんだ!」     ケン「オレ達は妙な情報が入ったんで、確かめに来ただけだ」        オミの後ろ(柱の陰)にシュル。    シュル「あいつらの言うことは本当かねぇ。やつら凰華ちゃんを処刑しに来たのさ。ほらほら、早く助けな        いと、凰華ちゃんが殺されちゃうよ」     オミ「うるさい!」        シュルに気付いたアヤ、駆け出し刀を抜く。        構えるオミ。        しかし、アヤの刃は後ろの柱に入った。     アヤ「偽りの言葉で、真実を曲げることはできない!」        柱が崩れ、シュルが姿を見せる。          ケンをめがけて、ファルファレロが降りてきた。        構える間もなく攻撃してくる。       凰華「オミくん!」     オミ「凰華さん!」        凰華のもとに急ごうとするオミに銃弾が飛ぶが、間一髪でヨージに助けられ、物陰に非難する。        笑いながら発砲するシュルディッヒ。    ヨージ「オミ!奴の手に乗るな!」     オミ「凰華さんっ!」        ヨージの言うことも聞かず、飛び出していくオミ。     オミ「凰華さんっ!」        シュルの銃弾が、腕を擦った。     オミ「うっ…」        腕を押さえ、うずくまるオミ。    シュル「恋人の前で死ねるなんて、うらやましい奴だぜ」        シュルが銃を構えたとき、ヨージのワイヤーが邪魔をした。    ヨージ「これ以上好きにはさせないぜ!」    シュル「くそっ!」        ヨージのワイヤーを躱す。    シュル「逃がすか!」        シュルが撃ち、ヨージがよける。    シュル「ちっ、弾切れか」        そこへアヤが切りかかる。        が、なんなく躱すシュル。
階段上        腕を押さえながら、階段を上がってくるオミ。     オミ「凰華さん…」     凰華「オミくん」
公園内        再びファルとケン。        ケンが不利かと思われたその時、またしてもヨージのワイヤーが舞う。    ヨージ「甘いんだよっ!」        前方にヨージ、後方にケン。        武器を落とし、往生するファルファレロ。
階段上        縄を解かれ、オミの前にへたり込んでいる凰華。     オミ「さ、凰華さん。立てる?」        顔をそむけ、立とうとしない凰華。     オミ「凰華さん…」     オミ「凰華さん、あいつに何を?」     凰華「あの男が、オミくんと私は兄妹だって。だから…だから、私…」     オミ「兄妹?じゃあ、凰華さんのお父さんて…鷹取玲司?」        頷く凰華。        愕然とするオミ。        パーティーの時、凰華といた玲司の後姿を思い出す。     オミ「そんな…バカな…」
公園内        3人に囲まれ、背中合わせで立つシュルとファル。    シュル「一旦引くぜ」    ファル「ケッ」        発砲しながらも引き上げる。
階段上               泣いている凰華。        震える彼女の手を、そっと握るオミ。     オミ「もう、泣かないで」        顔を上げる凰華。        微笑むオミ。     オミ「僕達は兄妹なんだ、それでいいじゃないか」     凰華「でも…」        黙って首を横に振るオミ。     オミ「僕は、これまでひとりぼっちだった。でも今は違う」        凰華の涙を指で拭うオミ。     オミ「僕には、凰華がいる」     凰華「オミくん…」         見つめ合い、そして抱き合う。      オミ「凰華!」     オミ「いつまでも、一緒だよ」        と、銃声が響く、凰華の表情が変わった。背中を撃たれたのだ。     オミ「凰華さん…?」      ファル「やべぇ」        逃げ去るファルとシュル。       オミ「凰華さんっ?凰華さん!」        オミの腕に崩れる凰華。     オミ「凰華っ!」        駆けつける3人、凰華を抱いているオミを見て、立ち止まる。     オミ「凰華っ、凰華ぁーっ!」        うっすらと目を開ける凰華。     凰華「オミ…くん…」     オミ「凰華!」        彼女にくちづけるオミ。     凰華「オミくんに…逢えて…よかっ…た…」        息絶える凰華。      オミ「凰華…目を、目を開けてよ!凰華ぁーっ!」        月が雲に隠れ、雨が降り始める。        雨に打たれながら、凰華を抱きしめ、泣き崩れるオミ。        俯き、立ち尽くす3人。     オミ「凰華ぁぁぁぁっ!」