深い山の山頂
       高い山の頂上(崖の上)にある、大きな屋敷。
       日当たりのいいテラスに大きなテーブル。そこで食事をする3人の老人。
     A「うららかな良い天気ですなぁ」
     B「本当に心地良い日です」
       膝の上の猫を撫でる手。
     A「さて、報告では日本支部長のミスター鷹取は、滅びの道を選んだそうですね」
     C「支配欲に駆られた、愚かな結果です」
     A「自業自得ですねぇ。やはりミスター鷹取は特別であったようじゃ」
       片眼鏡をした老人のアップ。
     C「んー、困りましたなぁ。日本支部を強化せねばいけませんねぇ」
     B「既に新たな者に手を打たせました」
       3人のアップ。片眼鏡の男、老女、口髭の男。
     C「今度は頼りになりますかな」
     A「駄目なときは、首を据え替えればいいだけです」
       和やかに笑う3人。


Mission 16 Schatten ―戦いへの回帰b


街中        腕を組む男女。        ヨージと女が歩いている。 オミ(音声)[あの忌まわしい事件が終わり、その後、どんな生活を送っているんでしょうか]        ヨージをつけている男(牡丹)。        アイスを買いに並ぶ女、少し離れたところで待つヨージ。 オミ(音声)[ヴァイスの解散後は、以前のように探偵業に励んでいるのでしょうか]        すれ違うサングラスの女(ノイ)。その女にハッとして振り向くヨージ。    ヨージ「明日香!」        駆け出すヨージ。女が両手にアイスを持って戻ってくる。      女「ちょっとヨージっ、何処行くのよっ!」        彼はもう既に人込みの向こうだ。    ヨージ「悪い、急用ができた!」        振り向きもせず手だけを振る。      女「どーすんのよ、これ」          人込みを掻分けて後を追う。    ヨージ「待ってくれっ!明日香!」        ようやく追いついて、彼女の前に回り込んだ。    ヨージ「明日香」        サングラスをとるノイ。    ヨージ「あ…明日香じゃ…」     ノイ「今日子」    ヨージ「あ、ごめん。君に良く似た子、知ってたもんで…」     ノイ「お上手ね」    ヨージ「ち、違うって!いつもこうやって、女の子に声掛けちゃったりなんかしちゃってるワケじゃ        なくて、ホントに知ってる子に良く似てたんだ。ホントだって」        フッと笑うノイ。     ノイ「可愛い」        照れて俯くヨージ。
喫茶店        アイスコーヒーを飲んでいるノイとそれを見ているヨージ。    ヨージ「ホントに良く似てる。でも、君のが上品で、物静かで、神秘的って感じかな」        大声で笑っている店内の女子高生達。     ノイ「静かな所へ行きたい。二人っきりで」        少し驚いて、それから微笑むヨージ。
学校(外)        学校前の坂の途中に止まっている赤い車。        校舎を見ている女(バーマン)。
学校(教室)        ノートパソコンの画面。 (音声)オミ[アヤくん、海辺町の生活には慣れましたか?]        人もまばらな教室。        パソコンに向かっているオミと、その少し後ろでかたまって話し込んでいる生徒達。   女子生徒「えーっ、やだやだぁ。ホントにー?」  女子生徒B「怖ーい」        雑誌の記事。十字架に張付けられている人間の写真。   男子生徒「連続女性誘拐事件は、猟奇殺人だった」     ミカ「何でー?何で若い女の子を誘拐して焼かなきゃいけないのよぉ」   女子生徒「酷すぎる」   男子生徒「この犯人て超ヤバイ奴だぜ」        キーを打つ手を止めて、耳を傾けるオミ。  女子生徒B「で、犯人は捕まったの?」   男子生徒「いいや。それどころか、誘拐はまだ続いてるんだよな。また犠牲者が出るぜ」        厳しい表情のオミ。  女子生徒B「えー?」     ミカ「やだぁ、私一人じゃ歩けない」   男子生徒「大丈夫だよ。この事件の犯人は、可愛い子しか狙わないの」     ミカ「ひっどーい!ねぇねぇ、月夜野くんはどう思う?」        振り向くオミ。     オミ「え?ミカさんは美人だから、気を付けた方がいいと思うよ」     ミカ「ホントっ?月夜野くん大好きっ」   男子生徒「何だよオミ!あんまりゴマすんなよなぁ、コイツすぐ調子に乗るんだからさぁ」     ミカ「何よそれっ」        笑って、また前を向くオミ。   男子生徒「だってホントのことだろー」     ミカ「何であんたってすぐそんなこと言うのよぉ」        オミ再びキーを打ち始める。 (音声)オミ[嫌な事件は、相変わらず起こっているようです。でも、ヴァイスをやめた僕には…]        キーを打つ手が止まる。画面には「関係ありません」と打ってある。
工事現場        ヘルメットを被り、作業をしているアヤ。 (音声)オミ[アヤくん、その後彩ちゃんの具合はいかがですか?]        学校の外にいたのと、同じ車が海を見下ろしている。  
病院 (音声)オミ[環境のいい、海辺の病院に移ったことで、きっと良くなると信じています]        夜の病院。階段を上がり病室に向かうアヤ。 (音声)オミ[先日、街で偶然、巴さくらさんに会いました]        ドアに「藤宮彩」のプレート。        中に入るアヤ。 (音声)オミ[アヤくんが遠くへ行ってしまったので、大変寂しがっていました]        相変わらず眠り続けている彩。 (音声)オミ[もし、こちらに来ることがありましたら、是非、会ってあげて下さい]        ゆっくりと閉まるドア。        空には満天の星。
教室        3年C組のプレート。        教室に入ってくるオミ。     オミ「おはよう」 クラスメイト「おはよう」        その後ろを慌ただしく駆け込んでくる。昨日の男子生徒。   男子生徒「おいっ、大変だぞ!ミカが誘拐された!」     オミ「え?」        振り向くオミ。教室中の視線がその生徒に集まる。   男子生徒「今朝学校に来る途中、車からいきなり飛び出してきた男達に、さらわれたらしいんだ」   女子生徒「やめてよ!そんな冗談!」   男子生徒「ウソじゃねぇよっ。ケイコとマミも一緒にいたんだ。二人が泣きながら職員室に入ってって        (二人が職員室で先生に話してる画面)ミカが誘拐されたって言ってたんだ」   女子生徒「じゃあホントなのっ?」        騒めく生徒達。   男子生徒「ミカは結構美人だったし、ヤバイぜこりゃ」   女子生徒「ミカは焼かれて死んじゃうっていうの?」   男子生徒「そりゃ、やっぱり…」   女子生徒「本当?!」   男子生徒「オレが知るかよっ」        横から男子生徒の腕をつかんで  女子生徒B「ねぇどうしよう。どうしたらいいのっ?」   男子生徒「離せよっ、オレ達じゃどうすることもできねぇよ!なぁ、オミっ」     オミ「え?ああ…」        俯くオミ。また騒ぎだす生徒達。     オミ[どうすることもできない…友達のその言葉が、何故か消えずに僕の心に残っています]
サッカーグラウンド        サッカーボールを蹴る足。        走り出す子供達。     ケン「ほーらっ!右サイド!もっと広がれっ!」 (音声)オミ[ケンくんは、どう思いますか?]        ボールを取り合う子供達。        考え込んでいるケン。    ケン[オミ、オレ達はもうヴァイスじゃないんだ。世間の事件とは、関係ないんだぞ]     子供「ケン兄ちゃんっ」        我に返り、顔をあげるケン。        飛んできたボールを慌てて受ける。     ケン「おおっと」        ふと目をやった木の陰に、ヘルの姿を見つける。        ボールを蹴り返した後もう一度見るが、そこに姿はなかった。
車内        山道を走る車。ヨージとノイ。        横目でノイを見るヨージ。    ヨージ「やっぱり信じらんねぇな」     ノイ「何が?」    ヨージ「君が別人だなんて。ホントに君は…」        ヨージの肩に凭れるノイ。     ノイ「私はきょうこよ」    ヨージ「…ごめん」        走り続ける車。     ノイ「このぬくもり…前にも、あなたのような人と…こんな時間を過ごしたような…」        一瞬ノイの目に光が戻る。    ヨージ「なんだって?!」        すぐに離れるノイ。     ノイ「そんな気がしただけ」        ヨージの表情が変わる。        バックミラーに写る一台の車。     ノイ「何?」    ヨージ「いや、何でもない」        スピードをあげ、その車を引き離すヨージ
ロッジ(1話の時に出てきたやつ)外        車から降りた二人。     ノイ「素敵な所ね!」    ヨージ「気に入った?」     ノイ「ええ!」        喜ぶノイをじっと見つめているヨージ。        視線に気付き、ノイもヨージの方を向く。        ゆっくり近付いて、唇を重ねる。そっと目を閉じるノイ。          少し離れたところから、それを見ている男。(牡丹)        バックミラーに写っていた車。        ロッジの窓に明かりがつく。
ロッジ(中)        テーブルの上に荷物を置くヨージ。    ヨージ「疲れたろ。先にシャワーでも浴びれば?」     ノイ「ええ、そうするわ」        バスルームに向かうノイ。    ヨージ「奮発した甲斐あったかな」        ヨージ袋からワインを出し、テーブルに置く。          夜。        2階のテラスに出るヨージ。一度中を振り返る。        中には、ベッドで眠るノイ。(多分やった後)    ヨージ「きょうこか。そう、あれはきょうこ。明日香じゃない」        自分に言い聞かせるように、俯き目を閉じる。    ヨージ「明日香はあの時、オレを助けるために…」        ふと、ワイヤーの張る音が聞こえ振り向いたが、一歩遅く、首にはワイヤーが巻きついた。        後ろから絞められて、苦しむヨージ。締め上げているのは、すでに着替えているノイだ。        首にキリキリと食込む。        もう駄目かと思ったとき、何処からか、紙飛行機が飛んできた。        ノイが気を取られた一瞬の隙に、ヨージの蹴りが飛んだ。        そのまま下まで飛び降りるノイ。    ヨージ「お前はっ!」        茂みから現れる昼間の男。        逃げるノイを男が追う。        ヨージは追わず、首に残ったワイヤーを手にとると、それを見つめる。
病院        いつものように、夜の病室に向かうアヤ。        階段を上り、病室のドアが開いているのに気付く。        慌てて部屋に駆け込むアヤ。     アヤ「彩!」        窓は開け放たれ、ベッドに彩の姿はなかった。     アヤ「あ…彩…」        ベッドの前に、力なく膝を付くアヤ。        そして彩のいたベッドは、シーツの上から十字に切り裂かれていた。

アイキャッチ:ヨージ CM アイキャッチ:アヤ

歩道
       夕暮れ。        サッカーボールを持った、練習帰りのケンと3人の子供。    少年A「今度の試合、勝てるかなぁ」     ケン「お前達の練習次第、ってとこかな」    少年B「えー?まだ練習するのぉ?」        ブーブー言いだす子供達。     ケン「まだまだ!基本がいちばん!」        前方の車道に大型のトラックが現れる。        が、そのトラックは車道ではなく、歩道にいるケン達に向かって走ってきた。        それに気付くケンと子供達。        ギリギリのところで、ケンが3人を抱えて、脇に転がった。        トラックはそのまま車道に突っ込み、動きを止めた。     ケン「大丈夫か!」        ケンは子供の無事を確認すると、立ち上がってトラックに近付き、助手席からドアを開けた。     ケン「おい!危ねぇじゃねーかっ!気を付けろよっ」        だが運転手は、助手席に頭から倒れた。     ケン「おいっ」        その運転手の首筋には、絞められた跡が残っていた。     ケン「こ、これは…!」        シェーンの武器であるムチと、彼女を昼間見かけたことが、ケンの脳裏を横切る。     ケン「まさか…」        周りには人が集まってきて、子供に声をかけたりしている。        遠くから救急車の音も聞こえてきた。     ケン「狙われたのは…オレか」        タイヤの下で潰れているサッカーボール。
街中        雨の降る夜。        人影も殆どない歩道を、傘をさし、一人歩くオミ。        回想   連続誘拐事件の記事。            「ひっどーい」            「また犠牲者が出るぜ」             ミカが男達に連れ去られるカット。            「ミカが誘拐されたぞっ」            「焼かれて死んじゃうのっ?」            「オレ達じゃどうすることもできねぇよっ!」            「なあ、オミっ」        立ち止まり、顔を上げるオミ。        そこは、既に閉ざされた「子猫の住む家」        じっと見つめているオミ。
子猫の住む家        中は荒らされて、花も散ったままになっている。        オミは地下への階段を降りる。        暗い地下の電気を点けて、驚くオミ。     オミ「みんな…」        左のソファにヨージ、右のイスにケン。正面の壊れたテレビの横にはアヤが立っていた。     オミ「どうして…」        誰も口を開かない。     オミ「どうしてここへ?」     ケン「情けない話さ。結局、ここへ戻って来ちまった」    ヨージ「誰に呼ばれた、ってワケでもないのにな」     オミ「三人とも…」     ケン「ペルシャの亡霊にでも、誘われたのかもな」     オミ「何があったのっ?」    ヨージ「女の子ってやっぱ怖いわ。あーぶないあぶない」     オミ「え?」     ケン「ヨージがシュライエントに襲われたんだ。そして多分…オレも」     オミ「え?シュライエントが?あいつら生きてたのっ?」    ヨージ「オレのところに一人、ケンを襲ったのは別口らしい。どうやら、オレ達のことをほっといては        くれないようだぜ。そうなると、身を守るためにこいつが必要だと思ってな」        ヨージの武器だった、ワイヤーを仕込んだ腕時計を見せる。    ヨージ「ここに取りに来た、ってワケだ」     オミ「…アヤくんも、襲われたの?」        目を閉じて立ったまま、反応もしないアヤ。     ケン「聞いても無駄だぜ。何があったか知らないが、話すつもりはないようだぜ」     オミ「でもっ、彩ちゃんを病院に置いてここへ来るなんて…まさか、彩ちゃんに何かあったのっ?」        表情を変え、唇を噛むアヤ。     アヤ「さらわれた…っ」     オミ「ええっ?」     ケン「彩ちゃんが」    ヨージ「誘拐?」        俯くアヤ。    ヨージ「それも、シュライエントの仕業なのか」        ベッドに切られた十字を思い出すアヤ。     アヤ「おそらく…」    ヨージ「何てこった…」     ケン「くっそぉっ!どうすりゃいいんだよっ」        そこへ、階段を下りてくる足音。     牡丹「新たなる黒き獣だ」        階段には、牡丹とバーマンが立っている。     牡丹「新たなる黒き獣の影が動き始めた」     ケン「誰だっ」     オミ「いつの間に」        眉を顰めるヨージ。    ヨージ「あの時の!」     牡丹「それは全世界にはびこる巨大な組織だ」        階段を下りてくる二人。     牡丹「今、その病んだ風は、日本に吹き始めている」     アヤ「お前達、何者だっ!」     牡丹「私はクリティカァの牡丹。そして彼女は、バーマン」     オミ「クリティカァ」     ケン「まだいたのか」     牡丹「ペルシャ亡き後我々は、ヴァイスを再結成させるために、君達を探していたのだ」   バーマン「今巷を騒がせている一連の誘拐事件。これは単なるプロローグに過ぎないのよ」     オミ「ヴァイスを再結成…」     ケン「そんな話、聞きたくもないぜ!」    ヨージ「ああ」        そこへ、またも頭上から声がした。   マンクス「いいえ、聞かなければならないわ」        階段にはマンクスが立っている。     オミ「マンクス!」     ケン「オレ達はもう、ヴァイスじゃないぞ」   マンクス「どんなに拒もうと、あなた達はもう巻き込まれているのよ」
劇場の舞台上        槍のようなものを掲げ、怪しげな呪文を唱える、覆面にマントの集団。        ステージの上には、ミカをはじめとする少女達が、次々と十字架に張付けられていく。
子猫の住む家   マンクス「その組織の名は『SS(エスツェット)』     オミ「SS…」   マンクス「その実態や指導者の名は、まだよく掴めていない。私達はSSの活動を、阻止しようとしてい        るの」   バーマン「例の誘拐事件も、SSが関係している可能性が高いわ」    ヨージ「シュライエントも、関係しているのか?」   マンクス「おそらく」     オミ「彩ちゃんが誘拐されたのも…」   マンクス「関係はあるわ」        黙ったまま顔を上げるアヤ。   マンクス「SSが日本にとって、大変な驚異になることは間違いない。今のうちに叩いておかなければ        ならないわ」        画面は外。雨が降り続けている。    ヨージ「まさかオレ達に…」     オミ「ミッションを?」     ケン「今更、冗談じゃないぜ!」     アヤ「…アジトは何処だ」        画面再び地下へ戻る。     オミ「え…?」   マンクス「ここよ」        紙を差し出すマンクス。     オミ「アヤくん」        無言で紙を受け取り、階段を上がっていくアヤ。     オミ「アヤくん!」     ケン「おいっ!」        顔を見合わせる三人。それを見ているマンクス達。
劇場の舞台上        薪に灯油をかけている覆面マントの男。        横では巨大な蝋燭に火を灯した者が控えている。        舞台上には張付けになった少女達。意識はないようで、ぐったりとしている。        そして一人ひとりの足元にある薪に、灯油がかけられていく。
路上        雨の降る中を、ミッションに向かうアヤ。        その後ろに、着替えた三人も歩いてくる。 (音声)ペルシャ「この黒き獣の明日を狩れ!」
劇場の舞台上        少女達の方を向き、蝋燭を持つ三人の覆面の男。     男A「フッフッフ。聖なるゲッセの復活の時が来た」     男B「奇跡は訪れる」     男C「愚かな人間どもの罪を戒めるのだ」     男A「逆らうものに罰を与えよ」     男B「いまこそいけにえを捧げるとき」     三人「精霊の書に光りあれ」        一人が薪に火を灯そうとした瞬間、蝋燭の火は消えた。     男C「ああ何ということだ」     男B「聖なる儀式を邪魔する者がいるのか!」        客席の方を振り返る三人。        客席の入口には、ヴァイスの4人立っている。     男A「あれは…」     男B「何者だ!」     オミ「この世にはびこる汚れた獣を始末する、白き狩人」        アヤを中心に並ぶ4人。       「ヴァイス!」     男B「何だとっ!」     男A「おのれ!」        男の一人が、ライターで薪に火を点けた。     オミ「あっ」    ヨージ「やりやがったな」        逃げる男達、追いかけるケンとヨージ。        オミは舞台に上がり、足で火を踏み消す。     オミ「ミカさんっ」        アヤは舞台を回り、彩の姿を探している。     アヤ「彩、どこだ…っ…」
劇場内(階段)        笑いながら階段を上る男。    ヨージ「待てっ!」        階段の上から、下にいるヨージに槍で突いてくる。        避けながらワイヤーを槍に絡ませると、そのまま男も一緒に後ろへ引き落とした。    ヨージ「女の敵は…オレの敵だ」        ヨージの背後で建物から落ちていく男。        そのワイヤーを手摺に巻き付け、首を釣り上げる。    ヨージ「天国が何かも知らない奴が、気安く地獄に堕ちろなんて言うんじゃねぇよっ」
劇場内(屋上)        槍を振り回す男、ケンは身を躱し、姿を消した。        ケンを探してあたりを見回す男。      男「ちくしょうっ。てめぇら一体何なんだ!ヴァイスだと?儀式の邪魔するんじゃねぇっ!        消えろっ!」        と、男の後ろにある貯水タンクの上から飛び降りてくるケン。     ケン「生憎だな」        バグナグが牙を剥く。        崩れ落ちる男。     ケン「できることなら、オレも消えたかったさ…ヴァイスなんかに、戻りたくなかった」
劇場内(裏口)        逃げ出してくる男、その後ろからアヤ。     アヤ「言え!妹は何処だ!」        慌ててトラックに乗り込み、エンジンをかける男。      男「知らねぇ!オレは何も知らねぇっ!」        車に近付いてくるアヤ。      男「本当だ!オレは何も知らねぇっ!」        フロントガラスが割れ、男の体を貫いたのは、オミのボーガンだ。          建物の上にオミ。     オミ[やっぱり許せない。悪い奴は…!]
劇場の舞台上        縄を解かれた少女達がかたまって、泣き声を上げている。        アヤはそれを非常口から見ていたが、立ち去る。
劇場内(裏口)        外に出てくるアヤ。     アヤ[アヤ、何処にいる…生きていてくれ…]
劇場内(屋上)        立ち尽くし、濡れながら空を見上げるケン。
劇場内(階段)        手摺を握ったまま、じっと目を閉じ、俯いているヨージ。
劇場内(場所不明)        ボーガンを手にしたまま、立ち尽くすオミ。
劇場内(裏口)        雨の降り注ぐ空を、見上げるアヤ。        雨は、いつまでも降り続けている。