風に揺れる蝋燭の炎。
       大きく開かれた瞳。
       部屋全体が映る。薄暗い部屋に蝋燭の明かりだけが光をつくっている。
       何本もの蝋燭に囲まれて、蹲っているのはシュルディッヒ。
       おもむろに、左腕の包帯を解いていく。
       黒いシルエットで、その部分は見えないが、生々しい肉を引き裂く音が響く。
       中から何か刃物を取り出したようだ。
       そして、それを舌に滑らせる。
       
       何処かの屋敷。満月の下で、彼の叫びが聞こえる。
   ファル「うわぁぁぁーっ!!」

Mission 18 Schuld ―ファルファレロb

子猫の住む家(店頭)        客もいない店頭で本を顔に乗せて、イスにだらっと座り、テーブルに足をでーんと乗せ、        気持ちよさそうに欠伸をしているのは、おそらくケンだ。        本は一応、花の雑誌らしい。     ケン「ふぁぁぁぁ。たまにはこうして開店休業状態ってのも、いいもんだよなぁ」        人の気配がして、本を少しずらして見ると、小太りな品のいい老女が立っていた。        慌てて飛び起きるケン。     ケン「い、いらっしゃいっ!」     老女「これくらいお花が欲しいんだけど、どれが安いのかしら?」        そう言って、顔の前で両手を広げる。        ポカンとするケン。     ケン「え、そんなに?だったら、かすみ草かなぁ…」        一応ケンなりに考えている。     ケン「あ、でも…こっちの、サービス品も安いけど」        それから店頭にある花束を出して見せた。     老女「うーん…そうねぇ、予算オーバー」        ちょっと呆れたような声でケンが聞く。     ケン「予算は?」     老女「千円」     ケン「千円じゃ、どの花もこんなに買えないよ」        さっき老女がしたように手を広げて答えるケン。        微笑む老女。     老女「そーお?私の田舎だと、千円あればどんな花もこのくらい買えるのに」     ケン「そんなに?うそだろー?それ」     老女「私はウソをついたことはないわ。ホントにこーんに買えるのよ」     ケン「分かった分かった。負けたよあんたには。どんな花でもいいんなら、大サービスするよ」     老女「わぁっ、さんきゅーっ」        ケンを胸に抱き締める老女。     ケン「ちょ、ちょっとっ!うぐっ」        苦しそうなケン。        そこへオミのバイクが配達から帰ってきた。     オミ「ケンくんって…」
教会        礼拝堂で、花を飾っているケンと先程の老女。     ケン「ん、よしっ」     老女「うん、安いわりにはキレイね」     ケン「それはないだろー?」        周りを見回すケン。     ケン「しっかし、あんたがここの先生とはなぁ」     老女「ルツと呼んでね。えーとあなたのお名前は?」     ケン「ケン」     老女「お花屋ケンちゃんね」        苦笑いするケン。     ケン「ケンだけでいいよぉ」     ルツ「ОK、ケン。今月からこの教会で働いているの。また遊びに来てね」        ケンは少し困ったように答える。     ケン「オレ、こういうところ、苦手なんだ」     ルツ「ごちそうもあるわ。私の作ったダイエットケーキは最高よ」     ケン「ダイエットケーキね。ま、とにかく考えておくよ」     ルツ「良かったぁっ」        そう言ってまたケンを抱き締める。     ケン「わっ…またっ!くる、くっ、くるし…っ」
シュヴァルツの部屋        宇宙空間のような背景。    シュル「ファルファレロは何処へ出掛けたんだ」        パソコンに向かったまま那岐が答える。     那岐「今日もまた、神様をいじめに行ったみたいだよ」    シュル「あいつのやってることは理解に苦しむぜ」 クロフォード「いや。ファルファレロの行動は、どこかエスツェットと繋がるものがある。我々にも聖        なる指導者の復活は必要なんだ」
教会(礼拝堂)        怯えて後ずさりする男(聖職者)。        歩み寄るファルファレロ。    ファル「先生よぉ。神がいるんなら、どうして苦しんだり悲しんだりする奴がいるんだよっ!」    聖職者「苦しみも悲しみも、神様の試練なのです」    ファル「どうして神を信じる者同士が、武器を持って戦うんだ。神は…神はどうして、戦争をなく        さないんだ!…昼寝でもしして気付かないのか」    聖職者「神様のなさることは、私達の理解に及ばないご計画の内にあるのです」    ファル「神なんていねぇんだよっ!」        拳で自分の横の台を殴り、そこにヒビが入る。    ファル「ホントは、あんたもそう思ってんだろ」        回想  倒れて動かない男、女、子供。家族のようだ。        ファル上に着ていたものを脱ぎ、包帯に巻かれた体が表れる。        高笑いをしながら、胸から下へ、刃物で縦に切っていく。    聖職者「や、やめなさいっ!」        止めようとするがファルに殴られ、床に倒れた。        起き上がろうとする彼を見て、さっきの回想と同じ、今度は冷たくなった手を思い出す。        それからファルはマリア像を見上げた。    ファル「お前の作ってくれた体をこうして傷付けて。…どうした、どうして黙っている!今すぐ        オレを裁け!罪人にしてみろ!」        回想  自分の手を見つめ、泣いている子供。            手は血にまみれている。        起き上がるために四つん這いになっている男の後ろに、ファルファレロが近付いてきた。        手には水差しを持っている。    ファル「これから、オレがお前に洗礼を授ける」        そう言って傾けた水差しから、透明の液体が零れ、絨毯を溶かした。        中は水ではなく、化学薬品のようだ。    ファル「この試練に耐えられるかな?」        怯える男。
子猫の住む家        店内のテーブルで、イスに座り新聞を読んでいるオミと、逆側から覗いているケン。     ケン「宗教関係者狙われる、か。ひっでぇな。顔に硫酸かけられたようだぜ」     オミ「ここのところ、似たような事件が多いよね」        何を思ったのか、突然ケンがエプロンを外し、店を出て行く。     ケン「ちょっと店頼む!」     オミ「ケ、ケンくんっ」
教会        礼拝堂のドアを開け、中に入るケン。        少し奥へ入ると、蹲るルツの背中があった。     ケン「ルツさん!」        慌てて駆け寄るケン。     ケン「ルツさんっ」        振り返るルツ。     ケン「大丈夫か?」        ルツは泣きそうな表情で、ケンの肩に顔を伏せた。     ケン「良かった無事で」     ルツ「これは神様への挑戦です」        側にはさっき読んでいたのと同じ新聞が落ちていた。     ケン「ああ、これのことか」     ルツ「早くJeiに会わないと」     ケン「Jei?Jeiって誰なんだ?何か心当たりでも…」        黙って立ち上がるルツ。        俯いている彼女の横に、ケンが立つ。     ケン「そんな顔、いつも明るいあんたには似合わないよ」     ルツ「誰にでも、暗い過去のひとつやふたつはあるわ」     ケン「え?」     ルツ「ごめんね、今日は何も聞かないで」                出口に向かうケン。        ドアの前で一度振り返る。     ケン「何かあったら、連絡してくれよ」        黙って手を振るルツ。
子猫の住む家(地下)    ヨージ「ふぁぁぁ…」        欠伸をしながら階段を下りてくるヨージ。        下にはイスにふんぞりかえっているケンと、後ろにアヤ、横にオミがいる。    ヨージ「こんな朝っぱらからミッションかよ。やってらんねぇぜ」          ビデオが再生される。 ペルシャの声「ヴァイスの諸君。このところ教会で、続け様に凄惨な事件が起こっている」        画面にファルファレロの写真が映し出される。        驚くオミとケン。 ペルシャの声「犯人は、鷹取玲司の元秘書であるこの男、通称ファルファレロだ」    ヨージ「奴等が出てくると、また面倒なことになるぜ」        画面に食い入るオミ、それに気付きオミを見上げるケン。        オミは凰華が撃たれたときのことを思い出していた。     オミ「あの時の…」 ペルシャの声「目的は解らない。はっきりしている事は、教会に関連があるということだけだ。        闇の白き狩人達よ、黒き獣の明日を狩れ」    ヨージ「簡単に言ってくれるぜ。相手の居場所も分かんねぇってのに、何がミッションだ」        欠伸をするヨージの前を通り過ぎるバーマン。   バーマン「全員参加でいいわね?」
教会        鐘が鳴り響いている。        とある教会の礼拝堂を覗くアヤ。中には誰もいない。          オルガンを弾く牧師。歌う子供達に混じっているのはケン。
子猫の住む家(地下)        顔に教会マップの本を乗せたまま、ソファで寝そべっているヨージ。        パソコンに向かっているオミ。     オミ「あれっ?これは…」        オミはとある写真を見て手を止めた。        子供とシスターの写真。     オミ「これは、あの時の…」    ヨージ「どうした、オミ」     オミ「この人、ケンくんの知ってる人なんだよ」        起きてきて、隣に立つヨージ    ヨージ「どれどれ」     オミ「この女の人はルツさんといって、教会の先生らしいね」        そこにあるメッセージを読むヨージ。    ヨージ「Jeiどこにいるの、あなたをずっと探してるのよ…か」     オミ「ねぇヨージくん、こっちの子。誰かに似てない?」    ヨージ「ん?」        シスターを見上げて笑っている子供。    ヨージ「!ファルファレロか!」     オミ「ルツさんからの新しい情報みたいだね。…Jei、大切な天使のタペストリーを預かって        いるから、取りに来てね…」        ハッとして顔を見合わせる2人。
路上     オミ「ケンくん!大変なんだよ!」        バイクで走っているケンに、オミから通信が入る。     ケン「何っ!ルツさんがっ?」
教会           さっきオミ達が見ていたのと同じ写真をてにしているルツ。     ルツ「Jei、気付いて…」
地下牢(?)        手足を縛られ、逆さに吊上げられているファルファレロ。        大きくもがくが、拘束は解けない。    ファル「うぉぉぉっっ!」       [何故だ]        またしても、倒れる人と手を血に染めた子供が頭に浮かぶ。       [何故だ…何故神はオレの親父やお袋や妹を見殺しにした]    ファル「親父、お袋、妹…」        と、ドアが開いて、シュルディッヒが声をかける。    シュル「お仕置きは終りだ。ちょっと来てみろよ」
       那岐がパソコンでルツのページを出している。     那岐「こんなの流して、どうするつもりなんだろ」        後ろでシュルディッヒとファルファレロが見ていたが、ふいにファルファレロの顔色が変        わった。    ファル[これは…!誰だ、こいつを流してるのは!]

アイキャッチ:ケン CM アイキャッチ:ケン

教会
       壁に掛けてある天使のタペストリーを見立てるルツ。     ルツ「Jei…」        そのとき、礼拝堂のドアが開いた。が、現れたのはケンだ。     ケン「何故だ」        ゆっくりとルツのもとへ近付いていく。     ケン「何故犯人を刺激するようなことを…探してるJeiが、今度の事件の犯人なんだろ?」        目を逸らすルツ。     ルツ「ケン、心配してくれて有難う。でもね、これは私がしなくてはいけないことなの」     ケン「オレここにいるよ」     ルツ「今日は駄目。お願いだから邪魔をしないで」        何も言えないケン。          教会の門を出たところで振り向き、建物を見つめるケン。        と、急に肩を叩かれる。     ケン「オミ」     オミ「どうする?」     ケン「やっぱり気になる。このまま、様子をみてみるよ」          建物の裏に回り、窓の下に隠れているケンとオミ。     オミ「ケンくん、どうしてそんなにルツさんが気になるの?」     ケン「笑うなよ?」     オミ「うん」     ケン「なんとなく、お袋を見てるような気がするんだ」        遠くを見るような目で話すケン。それを優しく見つめるオミ。     ケン[しかし、来るかな。ファルファレロ]          空はもう黄色く染まり始めていた。        祭壇の前に座り、祈りを捧げているルツ。        が、両脇にあった蝋燭の炎がふいに消え、そこへ影が近付いてくる。        ルツは立ち上がり、振り向いた。     ルツ「Jeiなのね?」        入口にはファルファレロが立っている。        ルツが近付くと、床に膝を付き、涙を流した。     ルツ「まぁ、こんなに大きくなって」        ファルファレロの肩に両手をかける。     ルツ「きっと来てくれると思ってたわ。今日は特別な日ですものね」    ファル「あの事件が起こった日だ…忘れるはずがない」     ルツ「Jei…」        そこへ、窓を割ってケンとオミが入って来た。     ケン「そいつから離れろぉっ!」     ルツ「来ないで!」     ケン「何言ってんだよっ!」     オミ「早く離れて!」        しかしルツは動かない。     ルツ「この子は何もしないわっ」        そう言った途端、ファルファレロが低く笑って武器を出すと、ルツを盾にケンとオミの方        を向いて立ち上がった。        そこへオミがダーツの矢を投げる。        見事に肩に命中したのだが、ファルファレロは無表情のままそれを引き抜き、床に放った。     オミ「なんともないのかっ?!」        ファルファレロは手にしていた武器でルツの腹部を刺すした。        ルツが床に崩れる。    ファル「そうか…お前らヴァイスだな」        ケンが向かっていくが、ファルは微動だにしない。     ケン「うぉぉぉぉっっ!」        そしてケンは、一瞬でミゾオチを突かれた。        続いてかかっていったオミも、もろに食らった。        蹲る2人を尻目に、ファルはルツを肩に担ぐと、奥へ向かって歩きだした。    ファル「ま、今日は特別な日だ。命だけは助けてやるぜ」        タペストリーを剥がすファルファレロ。     ケン「ル…ルツさん…っ」
崖の上の教会        街から少し離れた崖の上に立つ建物。        窓から夕陽に染まる海を見ているファルファレロとルツ。     ルツ「海と夕陽と神様の家。思い出さない?。懐かしい風景だわ」    ファル「偶然だ        ルツ、ファルファレロの方をに向き直る。     ルツ「Jei、神様は何もかも分かってらっしゃるわ。本当は、あなたは優しい子なのよ。        さあ、罪を認めて、神様にお許しを乞うのよ」        ファルファレロは海を見つめたまま、視線も動かさない。    ファル「オレの行方を追ってたそうだな     ルツ「そうよ、Jei。会えて良かったわ」    ファル「14年振りか…こいつと、あんたと…」        手に持っていたタペストリーに目をやり、ぎゅっと握った。その手は小刻みに震えている。        回想     木陰に腰を下ろしているシスターと、それを囲む子供。               神様について子供に話しているルツ。               ファル(声のみ)[あんたの話は、全て信じていた。オレは…]            ルツ「これは私からのプレゼントよ」               そう言って天使のタペストリーを差し出す。            少女「わあっ」               少女が受け取り、歓声をあげる。               今度はファルファレロと思われる少年が、近づいて来て言った。            少年「ルツ先生、僕、神様のお話暗記したよ」               微笑むルツ。               ファル(声のみ)[もちろん、親父やお袋はオレ以上にあんたの言うことを               信じていた]               街を走っている少年。               家に着き、ドアを開けると、そこにあったのは家族の死体だった。               妹はルツに貰ったタペストリーに包まったままで死んでいた。               ファル(声のみ)[だが、神は来なかった]        タペストリーを持った手で、口を押さえるファル。    ファル「オレは可哀相な被害者なんだ!世界中に、オレほど不幸な奴はいない!」        タペストリーを硫酸の中に投げ込むファルファレロ。    ファル「怖いか」     ルツ「もう少し早く出会っていれば、あなたに犯罪なんて起こさせなかったのに」    ファル「犯罪なんかじゃねぇ。オレのやることはいいことさ!被害者なんだからな」        胸の前で手を組むルツ。     ルツ「昔のように神様にお祈りしましょう」    ファル「またそんなことを!」        ファルファレロはルツの首を掴むと、硫酸の溜っている容器の上に、倒れる寸前まで押し        た。    ファル「神はいないと言え。そうすれば助けてやる」     ルツ「それは無理よ…いらっしゃるんだから…」        首を絞める手に力が入る。        苦しそうな表情で耐えるルツ。        と、壁を突き破って、ケンとオミのバイクが建物に突っ込んできた。          アヤとヨージは車で正面に乗りつけた。が、そこにはクロフォードが待っていた。 クロフォード「お前達の相手は私だ」          ファルファレロに攻撃を仕掛けるケンとオミ。        だが、オミのダーツが何本刺さっても、引き抜いて床に放るファルファレロ。    ファル「一度くらい痛みってやつを感じてみたいね」        横には腰を抜かしたようにしているルツがいた。     ルツ「Jei…」          外ではアヤとヨージが、クロフォードを相手に戦っていたが、先の動きを読まれてしまう        ためか、素手のクロフォードを倒すことができない。          壁に叩きつけられ、崩れるオミ。        上から降りてきた剣をバグナグで防ぐケン。だが、頭上に気をとられているうちに、腹を        蹴られ、床に倒れる。        顔を上げると、目の前には剣先が光っている。    ファル「死ね」     ルツ「待ってJei!」        その声に一瞬動きが止まる。     ルツ「Jei、お願いよ、これ以上罪を重ねないで。Jei!」    ファル「…今のオレはJeiではない。ファルファレロと呼べ」     ルツ「Jei…」        動けないままその光景を見つめているオミと、剣を突きつけられているケン。        そして、ファルファレロはその剣を振り上げた。    ファル「最後だっ!」        が、刺されたのはケンではなく、彼をかばったルツだった。     ルツ「これ以上…駄目よ、Jei…」     ケン「ルツさんっ!」        ファルファレロは無表情のままだ。    ファル「バカが」        ルツは胸に刺さった剣を掴み、語り始めた。     ルツ「Jei、良く聞いて。ご両親と妹を殺したのは…あなたなのよっ」    ファル「なにっ!」     ルツ「できれば、言いたくなかった…でも…」        よろよろと立ち上がるルツ。     ルツ「その罪を認めない限り…あなたは救われない…!」    ファル「ウソだ…ウソをつけ!オレは可哀相な被害者なんだっ」     ルツ「思い出すのよJei。あの日あなたは、あることでとても興奮して、突然暴れだしたの」    ファル「あることだと?」        力なく頷くルツ。     ルツ「…本当のお母さんが誰か、知ってしまったのよ!」    ファル「ウソだ。ウソだ!ウソだ!ウソだっっ!」     ルツ「これを見て、思い出すのよ」        ルツはファルファレロに、両手のひらを見せた。        その手のひらは、中心と第一関節が横一直線にぱっくりと割れたような傷跡だった。        回想    家族の死体。              自分の手を見つめ、泣いているJei。              手は血にまみれている。              そして、家族の隣に倒れていたシスターが、ゆっくりと起き上がった。           ルツ「Jei…」              泣いていたJeiはシスターに近付き、ナイフで刺した。              それを掴んだ彼女の手から、血が滴っていた。              そこで気を失ってしまうJei。    ファル「ウソだ…ウソだ…」     ルツ「すぐに警察に届ければ、あなたはそれ以上罪を重ねることはなかった…」        蹲るルツ。     ルツ「でも、私にはできなかった…あなたが…可愛かったから…」        ファルファレロの手が震え、手から武器が離れた。        ケンとオミはそれを見逃さなかった。     ケン「今だっ!」        オミのダーツはよけられたが、ケンのバグナグはもろに入った。        ファルファレロの体が宙に上がり、床に叩きつけられる。        その時ケンとオミの後ろの壁を破って、車が乗り込んできた。        オミはルツを抱え、2人は両脇に逃げた。        車から顔を出したのはシュルディッヒだ。    シュル「ファルファレロ!迎えに来たぜ!」          アヤが刀を抜く。そこにクロフォードとヨージが映っている。        刀を振り降ろす、が、除けられてしまう。        そこへ再びさっきの車が現れ、クロフォードはそのまま乗り込んだ。        車は3人を乗せて、走り去ってしまった。       ルツ「両親と妹を殺したのは強盗だという話…Jeiは信じたわ…」     ケン「もういいよ」        ルツを抱きかかえるケンと、傍らにオミ。     ルツ「Jeiは…自分の罪を全く記憶の外に追い出し…神を恨むようになってしまった…みんな        私の責任…」     ケン「何故、そこまであいつを…」     ルツ「…Jeiは…私の…」        ハッとするケンとオミ。     ルツ「天の父よ…Jeiを…お願…」        ルツの手が、ぶらりと力なく落ちた。     オミ「ファルファレロは…ルツさんの…」     ケン「辛かったろうな…ルツさん」        ルツを抱き締めるケン。寄り添うオミ。
車内        車の後部座席で目を開けるファルファレロ。        ゆっくりと起き上がる姿が、バックミラーに映る。        振り返るクロフォード。 クロフォード「タフな奴だ」    ファル「普通その傷じゃ、痛みで死ぬぜ」    ファル「…復活か…シャレにもならねぇぜ」        ファルファレロは独り言のようにそう呟き、ふっと笑った。