深夜の公園
       正体不明の4人のシルエットが宙に舞い、ビルの灯に浮かび上がる。
       それを見上げていたヴァイスに、突然攻撃を仕掛けてきた。
       シュライエントである。
 
       状況が把握できないまま、ケンはとりあえずシェーンのムチをかわす。
    ケン「何だ?こいつら!」
       オミもトートから逃げるように身を翻した。
    オミ「知らないよぉっ」
       ヨージは蹴りをかわしながら、マスクを深々と被ったノイを見つめる。
   ヨージ「女?!」
       ヘルのナイフがアヤに向かって次々と飛んでくる。
       かわしたナイフはターンして、怪物と化したテツヤの背中に命中した。
   テツヤ「ぐあっ!」
       続いて、シェーンの踵に仕込んであった刃が、その背中を引き裂いた。
       倒れるテツヤ。彼の言葉を聞き取ろうと、耳を寄せるオミ。
   テツヤ「光…輪…」
       それが最後の言葉になった。

製薬会社『光輪』ビル内        再び立ちはだかる4人の女。     ケン「お前らは…」     ヘル「シュライエント」


Mission 9 Schreient ―それぞれの思いb


製薬会社『光輪』ビル内        ヨージがサングラスを直しながら呟く。    ヨージ「まいったなぁ…女と闘う武器は持ち合わせてないんだ」     ヘル「じゃあ、お相手を変えましょうか」        彼女が指を鳴らすと、怪物化した連中がどこからともなく現れ、4人に襲い掛かってきた。      ケン「やめろっ!オレたちはお前らを助けに来たんだ!」        ケンの言葉も怪物となった彼らには届かないようだ。     オミ「だめだよっ、この人たち完全に怪物化しちゃってるよ!」        相手が被害者なだけに、手が出せない。        それを眺めているシュライエント     ヘル「ほら、逃げてばかりじゃ殺されちゃうわよ」        4人は走って逆方向に逃げる。
製薬会社『光輪』ビル屋上        突き当たったのは、屋上に続く広い温室。     オミ「くぅ…っ」        背中から倒れ込むオミに敵が襲い掛かる。     オミ「あっ!」     ケン「オミ!」        ケンがバグナグを構えた。     オミ「だめだよっ!この人たち被害者なんだよっ!」        その敵を押さえ込んだはいいが、ヨージは始末できず、ただ羽交絞めにするだけだ。    ヨージ「けど、このままじゃよっ!」        オミに気を取られていたケンの目の前に、別の怪物が突進してきていた。     ケン「うわぁぁっ!」        敵がケンに触れるより、一瞬早く、アヤの日本刀が刃を向いた。        怪物が倒れる。     ケン         オミ「あっ!」    ヨージ        手を出せずに躊躇っていた3人は、瞬間、動揺した。     アヤ「ヴァイスになった時から、十字架は背負っている!」        アヤは無表情のまま、ヨージの押さえ込んでいた怪物にも刀を突き立てた。        さらに突進してくる怪物に、初めてヨージのワイヤーが舞う。        首に絡みついたそれは、音を立て、生を絶つ。    ヨージ「地獄でまた会おうや」          オミのボーガンが飛び、ケンのバクナグが牙を剥く。        敵が片付いて、ようやく肩で息をしているケンをめがけて、シェーンが飛び降りてきた。   シェーン「なかなかやるじゃない!」        僅かなスキをついて、シェーンのムチがケンの腕に絡みついた。     オミ「ケンくん!」        振り向いたオミには、トートがパラソルに仕込んだレピアーで突いてきた。     オミ「はっ」    トート「私たちは強いわよおっ」          ノイは武器ではなく素手でヨージに攻撃してくる。        アヤはヘルの攻撃を受ながら、眉をひそめる。     アヤ[こいつら…!闘い慣れている]     シェーン「つまらない!少しは反撃してらっしゃいよっ!」     ケン「いい加減にしろっ!」        そう叫んだかと思うと、ケンは自らの手にムチを巻きつかせ、思いきり引いた。        シェーンが宙に浮いた瞬間、バグナグが光った。        彼女の頬には細い爪痕が残った。   シェーン「ぐうっ!私の顔がぁっ!」          何も言わず、ひたすらパンチを繰り出すノイ。    ヨージ「無口すぎる女も嫌われるぜっ!」        傍らではアヤの日本刀とヘルのナイフが金属音を奏でる。        そのとき、上空にヘリコプターが現れた。     ヘル「間に合ったようね」        着地したヘリに、鷹取雅史がスーツケースを持って乗り込もうとしている。        ヘルが空中に向かって銃撃つと、それが合図だったのか、全員が闘うのをやめ、そっちへ向かった。    ヨージ「逃がさねぇっ」        ヨージのワイヤーはノイのマスクに当たり、初めてその横顔が覗いた。        ハッとするヨージ。       ケン「待てっ!」        4人は追いかけて屋上に出るが、もうすでにヘリに乗り込んだ後だった。     ケン「降りて来い!」        しかし間に合わず、ヘリは5人を乗せて、夜空に消えた。     アヤ「鷹取…」
雅史の屋敷         広い日本庭園。大きな屋敷。その屋上にヘリは着地した。        5人が広間に入ってくる。シェーンは傷のついた頬を押さえたままだ。    トート「待って。シェーン、トートがバンソウコ貼ってあげるー」     ヘル「2人ともっ、見張りは?」        2人が答える代わりに、雅史が言った。     雅史「そんなものノイにやらせておけ!」        それだけ言って彼は奥の部屋へ消える。        ヘルが黙って振り返ると、マスクを着けたままで表情すら分からないノイがただ立っている。
研究室          怪しげなビーカーやフラスコ、ホルマリン漬けが並んでいる、雅史の研究室。        その中に、不釣り合いな女性の写真と、家族写真と思われるものが置かれている。        机に座りなにやら調合している。     雅史「いいぞ。DNA実験でこれだけの成果が得られるとは」        静かに姿を現す、白衣を着たヘル。     雅史「ヘル。例のフロイデのデータを出してくれないか」     ヘル「雅史、少し休んだ方がいいわ」     雅史「悪魔が僕を殺しに来たんだぞ!来るべき日はもうそこまで迫ってるのさ!」        緑の液体を得意げにヘルに見せる。     雅史「ごらん、このなかには超小型技術によるシリコンと生物学的自己増殖を組み合わせた        コアクリッターが、実に3億6000万個体詰まっている」     雅史「細胞レベルの損傷を探しだして修復してくれるこれが完成すれば…人は半永久的に生きられる」        机の上にシリンダーを置いて。     雅史「問題はこいつの安全保証フェイルセーフの完成だが…」        手を伸ばし     雅史「ヘル」        雅史の背後から抱きつくヘル。     雅史「もうすぐだ。フッ、ハッハッハッハッ」        研究室に響き渡る自信に満ちた笑い声。     雅史「ハハハハハハッ」
子猫の住む家地下     ケン「っ痛…あイッテェ!」        ソファでケンの腕を手当てするオミ。     オミ「ったくー、無茶するんだからぁ。腕でムチを絡め取ろうなんてっ」     ケン「肉を切らせて骨を断つ!これがオレのやり方なの」     オミ「はい、はい」        壁に凭れ、目を閉じ何か考えているアヤに、オミが声をかける。     オミ「とんでもないミッションだったね」     アヤ「ミッションはまだ終わっていない」        立ち上がるオミ。     オミ「え?どうしてさ、実験設備は破壊したよ?」     アヤ「ターゲットは、まだ生きている」     オミ「でも…」        戸惑うオミ。その後ろで包帯の拳を振り上げようとするケン。     ケン「オレだって、この傷の礼をした…イテッ!」    ヨージ「オレも、終わらせるつもりはないぜ」     オミ「ヨージくん」        階段の途中に座っていたヨージも、ゆっくり腰を上げる。    ヨージ「お前はどうすんだ?」     オミ「ん…みんなが、やるなら…」    ヨージ「じゃ、そいつの手当てをさっさと済ませて、例のヘリの行方を追ってくれ」     オミ「また僕ー?それで、ヨージくんたちは?」    ヨージ「寝るに決まってんだろー?睡眠不足でドロドロになった顔を女の子に見せるわけにはいかねーんだ」     オミ「じゃ、僕はドロドロでもいいって言うのっ?!」        欠伸しながら階段を上がっていくヨージ。続いてアヤ。     オミ「ちょっと、ヨージくん!アヤくん!」        溜息をつくオミ。     オミ「もう…」        ソファに座ったまま、ケンも階段を見上げて呟いた。     ケン「オレも、ドロドロはご免だ…」
子猫の住む家店頭        百恵さんが店先を掃除していると、元気よく巴さくらがやって来た。    さくら「おはようございます!」   百恵さん「いらっしゃいませ。どんなお花をお探しですか?」    さくら「え?そ、そうじゃなくて…」        彼女は楽しそうに、顔の高さまでお弁当の包みを掲げる。    さくら「アヤさんに食べてもらおうと思って。アヤさんたちは?」   百恵さん「贈り物ならこの花なんかよろしいかと思いますけど」        まるで話が通じないと分かって、諦めるさくら。    さくら「…どこ行っちゃったのかしら」
彩の病室        妹の髪を優しく撫でるアヤ。        彼女を見つめた後、顔を上げる。何かを思わせる強い瞳。
ジム         タオルを首に掛け、多量の汗を流しながら腹筋しているのはケンだ。     ケン「やられた借りは、絶対返す!」
オミの部屋         パソコンに向かうオミ。     オミ「自衛隊のレーダーも、航空幹線の中継局も、ヘリを見失っているか…」        モニターには雅史の個人データが映し出される。     オミ「鷹取雅史。この顔、どこかで見たことがあるような…」
喫茶店(2階)        殺風景な店の、海の見える窓際に一人で座っているヨージ。        向かいの誰もいない席に、明日香を思い出す。   (明日香)『ヨージ、あんただっていつまでもしがない探偵稼業なんか続けたくないだろ?        こんなショボイ店のコーヒーに満足してないで、もっと大きな夢を持てよ!』        窓の外をぼんやり見つめるヨージ。 ウエイトレス「お待たせしました」        コーヒーがテーブルに置かれる。 ウエイトレス「お連れの方の分は…」    ヨージ「一緒に置いといてくれ」 ウエイトレス「でも…」        目を背けるように窓の方を向いて、独り言のように呟いた。    ヨージ「いいんだ。いくら待っても、連れは来ない」        困るウエイトレス。
ノイの部屋        外したマスクを見つめているノイ。        開けっ放しのドアをノックする音。     ヘル「見張りを交代して」        再びマスクを着けて立ち上がるノイ。
シェーンの部屋        ドレッサーの鏡を見ながら、ゆっくりと頬の絆創膏を剥がす。        部屋中に、自分の昔のポスターが貼ってある。        まだ傷跡は消えていない。   シェーン「いやぁぁーっ!!」        発狂したように、ドレッサーのイスで鏡を割る。   シェーン[絶対に…許さないっ]
研究室     ヘル「食事よ、雅史」     雅史「そこへ置いといてくれ」        ヘルは近くの台にトレーを置き、雅史の机に歩み寄る。     ヘル「こうしていると、昔を思い出すわ。もう7年になるのね」        後ろから雅史を抱き締め、肩に顔を埋める。     雅史「あの頃は時間なんていくらでもあると思っていた。バカな教授ども相手に        無駄な時を過ごしたものだ」     ヘル「あなたは誰よりも輝いていたわ」        ゆっくり離れる。     雅史「もうすぐだ。もうすぐ僕の望んでいた世界が実現する」        雅史を見つめ、声を抑え呟く。     ヘル「あなたの信じた世界に、私も連れていって」
桜の咲く庭         どこまでも桜の木に囲まれた景色。        トートが、舞い散る花びらを楽しんでいる。        ふいに強風が吹いて、手に持っていたパラソルが飛ばされてしまう。    トート「あーっ、トートの傘がぁ」        パラソルはくるくる回り、その先で誰かがそれをキャッチした。那岐だ。        パラソルを追いかけてきたトートが、笑顔で尋ねる。    トート「あなたは?」     那岐「那岐。直江那岐」        トートの表情が変わり、パラソルを武器として構えた。    トート「思い出した!パパのお父さんと一緒に来てた人でしょ!トートのパパをいじめると        許さないんだからっ!」     那岐「…そんなふうに、見える?」        トートはそっとパラソルを下ろした。    トート「ううん」     那岐「君に会いに来たんだ」    トート「え?」     那岐「君はとっても変わった子だから」    トート「えー?」     那岐「一人で寂しくない?」    トート「だってパパもいるし、ヘルやシェーンやノイもいるし。パパはね、本当のパパじゃないんだよ。        本当のパパは悪い人。だから大ッキライなんだ」        話してからトートは少ししょげて、俯いた。        それを見た、那岐は手のひらに力を込め風を起こした。風に花びらが舞い踊る。    トート「うわーっ、ふふふっ、きーれーっ」        しかし、すぐに遠くから彼女を呼ぶ声がした。     ヘル「トートっ」    トート「あ、ごはんだ。はーい」        彼女は振り向きもせず駆けて行ってしまう。        風が止み、一人になった那岐の後ろに、いつの間にかシュルディッヒとファルファレロが立っていた。   シュルディッヒ「ホレたのか?あの子に」     那岐「何のこと?」    ファルファレロ「いずれは殺す相手」     那岐「指令があればね」
鷹取のビル(社長室)   鷹取玲司「現場を見た警備員の処置はそっちに任せる。証拠は残すなよ!」        勢いよく机の上の電話を切る。     鷹取「雅史のバカが。もう、我慢ならん!クロフォード!」        後ろに控えていたクロフォードが、不敵な笑みを浮かべる。 クロフォード「は。お言葉ですが、私たちが手を下さなくても、処分されるのは時間の問題かと」     鷹取「お前に分かるのか。未来が」

アイキャッチ:ケン CM アイキャッチ:ケン
夜の公園
    アヤ「何故隠していた」
  マンクス「何のことかしら?」
    アヤ「雅史が鷹取の人間だと知っていたな」
  マンクス「クリティカァの情報網にも引っ掛からなかっただけよ」
    アヤ「オレたちは辿り着けた」
       何も言わないマンクス
    アヤ「オレは復讐のためにヴァイスに入った。邪魔をするなら許さない」
      「ペルシャにそう伝えろ」
       それだけ言うと、アヤは帰って行った。

車の中    マンクス「猟犬には獲物を追わせていないと、飼主の手を噛むことがありますわ」   ペルシャ「鎖で繋いでおくのも、限界かもしれんな」
滝の見える川沿い         雅史の隠れ家近くの山中。        釣り人を装った男(クリティカァ)が電話を切ったところに、ヘルが姿を見せる。     ヘル「こんな山の中で…ストーカーかしら?」      男「うっ!」        木の陰からトートが顔を覗かせる。    トート「誰とお話ししていたの?」        ムチをしならせるシェーン。   シェーン「答える前に、死んでしまうかもしれないわね、あなた」        背後にはノイが現れ、完全に囲まれる。     雅史「待て!」        そこに突然薬品を持った雅史が現れた。    トート「どうして止めるの?パパァ」     雅史「フランケンハウスが潰されて、実験用の臓器が手に入らなくなった」        ノイ、男を後ろから羽交絞めにする。     雅史「さらに、子供らを誘拐してくれる加藤たちもいなくなって、非常に困っていたところだ」        男にゆっくり歩み寄る。     雅史「どんなネズミでもモルモットになれる!」      男「や、やめろ!!」        しかし男は、液体を浴びて苦しそうに呻いた。      男「うぐぁぁ」     雅史「化学の結晶をたっぷりと味わうがいい」        あっという間に変身し、化け物となった男は、トートの攻撃を受ける。    トート「あっち行けっ」        パラソルでの攻撃は、まるで効果がない。    トート「ちっともし死ななぁい」     雅史「ヘル!」        ヘルが火炎放射器で攻撃すると、大きな炎を上げて燃え始めた。    トート「怖かったぁー。パパァ、何だったの、アレぇ」        怪物は炎に包まれているが、黒く焦げる様子もない。     雅史「ペイルセーフの設定が、まだ甘かったようだ。        そのせいで、人間が本来持っている自己防衛本能や治癒能力が異常に引き上げられてしまった。        だが素晴らしいぞ、コアクリッターの効果は」
病室のような所(不明)   マンクス「こちらです」        ベッドにかかっていたシーツを剥がすと、化け物がベッドに完全に括りつけられ、横たわっていた。   ペルシャ「あ!これは!」   マンクス「雅史を見張っていたクリティカァが行方不明に」       「…彼です」   ペルシャ「これが人間か!」        手を伸ばし触れようとすると、腹が割れて中から触覚のようなものが攻撃してくる。   マンクス「気を付けて下さい!生命反応はなくても、細胞はまだ生きています!」   ペルシャ「彼らを止めるには、もはや「死」しかあるまい」        握り締めた手が震えている。
オミの部屋        パソコンの前で眠るオミ。 (音声のみ)トート「出来たの?パパぁ」       雅史「理論上はなトート。後は安全性を確かめるだけだ」     シェーン「私の美しさも永遠に残る?」       雅史「当然だよ、シェーン」
研究室    五つ並んだシリンダーの前に立つ雅史とシュライエント        雅史に寄り添うヘル     ヘル「私たちの夢がとうとう叶うのね」        チッチッチッという秒針の音、屋敷のあちこちで爆発が起こる。        トート、シェーン、ノイが出動する。雅史はヘルにしがみついて怯えるだけだ。     雅史「化け物か?この間の悪魔が来るのか?」
2階         ケン、バグナグの爪を出す。     ケン「豪華な隠れ家だな」        そこに、シェーンが姿を見せた。   シェーン「この傷のお礼は、たっぷりとさせてもらうわよ」
1階A     トート「また来たの?あなたたち、お名前は?」     オミ「ヴァイス」    トート「まあ、素敵なお名前ねー。バイバイ、ヴァイス」
1階B     ヨージ「やっと二人きりになれたな」       窓枠に立って、ノイを見下ろしている。    ヨージ「恥ずかしがらずに、そのマスクの下の顔を見せてくれないか?」       ヨージを見つけ攻撃を仕掛けてくるノイ。    ヨージ「力ずくってのは、好きじゃないんだけどなっ」
研究室     怯えるしかできない雅史。     ヘル「心配しないで。あなたには私がついてるわ」       3人が出ていったまま開いていた、ドアの前にアヤが姿を見せる     アヤ「鷹取雅史だな」     雅史「き、来たぁぁっ!」     ヘル「雅史には指一本触れさせない」
2階    シェーン「腕を上げてきたようね」       ムチで攻撃をしながらも、笑みを浮かべる。     ケン「褒めてもらって嬉しいぜ。そっちこそ、一人でもやるじゃねぇか」   シェーン「ありがと!」
1階B        ノイを捕まえられないまま、ひたすら攻撃を躱すヨージ。    ヨージ「気が強いとこもそっくりだぜ」       外では桜の花びらが散っている。
広間    アヤとヘルが闘っている隙に、シリンダーを持って逃げる雅史。     アヤ「待て!」       広間の隅に背を向けてうずくまる雅史に、後ろからアヤが切りかかる。     アヤ「ここまでだ!」     雅史「うあぁっ!」       床に崩れる雅史。     ヘル「雅史!…ハッ」       しかし、ゆらりと立ち上がる雅史。背中の傷から蔓のようなものがいくつも伸びてくる。     アヤ「なっ…」     雅史「フハハハハ…そんなもので僕を殺せると思うのかい?」       腕が膨らみ、指が伸び、声のトーンが変わり、次第にその姿を変えていく。           雅史「僕は今から神なのだぁーっ!」     ヘル「あの薬を飲んだのね」       アヤは突き飛ばされて床を転がり、ピアノにぶつかったところで止まった。     雅史「悪魔めぇ、神の力で滅ぶがいいっ」       怪物となった雅史に胸倉を掴まれ、引き上げられるアヤ。     アヤ「お前は…決して神などではない」     雅史「うるさいぃ!人類が滅亡した後、僕はこの力で新しい世界を作るんだ」       狂ったように、アヤを何度もピアノに叩きつける。
1階B       一方ヨージは、ようやくノイを捕まえ、組み敷いた。    ヨージ「さーあ、顔を見せてもらうぜ」       マスクを取る。ヨージの顔色が変わる。       そのとき、熱を持ったボンベが次々と爆発した。
2階     ケン「なんだ?」       爆音にケンとシェーン振り向く 
広間    トート「パパ大丈夫?」       爆発の方に向かって走っていく。     オミ「待てっ」       トートを追い広間に来たオミは、バラバラになったピアノに気付き、足を止める。       下敷きになってるヘルが見える。     ヘル「雅史っ」       その向こうの、崩れたガレキの中から立ち上がったのはアヤだ。       しかし同じくガレキの中から伸びてきた雅史の蔓に再び捕らえられる。       駆け寄ろうとしたトートとオミが立ち止まる。    トート「キャァ!」     オミ「なんだコイツは?!」     ヘル「雅史!」       2階からはケンとシェーンが見下ろしている。   シェーン「あぁっ!」     ケン「ばっ、化け物だ!」       締め上げられるアヤ、苦痛の表情     オミ「アヤくん!」       オミは雅史にボーガンを向けるが、トートに突き飛ばされる。    トート「パパをいじめちゃダメ!」       オミの前に立ちはだかる。     雅史「誰にも邪魔させるものか。神の新しい世界作りを」       ヨージはワイヤーでアヤを締めつけている蔓を切る、突き飛ばされるがようやくアヤは開放される。       雅史は敵味方なく無差別に攻撃をはじめた。     ヘル「ペイルセーフが制御できていない!」       天井が崩れ落ちてくる。   シェーン「パパ危ない!」       咄嗟に雅史をかばい、シェーンは代わりに下敷きになってしまう。     ヘル「シェーン!!」       トートとノイは、 崩れそうな柱や壁を必死で支えている。     ケン「てめぇ!よくも」     ヘル「あなたたちがいけないのよ!」       周りを見回しながら(ヨージを支えるオミとか)     ヘル「あなたたちが追いつめなければ、こんなことにはならなかったのよ!」       アヤ刀を杖に、ふらふらと立ち上がる     アヤ「そこをどけ!」     ヘル「雅史は私が殺させない」       自らアヤに向かっていくヘル。     ヘル「うぉぉーっ!!」       アヤ、刀を抜こうとする。    ヨージ「アヤ!」       しかし、次の瞬間ヘルの動きが止まった。     ヘル「……!」       背中から彼女を刺したのは、雅史だった。     ヘル「まっ…雅史…」     雅史「新しい世界に住むのは僕だけだ」       ヘルを捕らえ、おもちゃのように振り回す。     雅史「神になった僕一人なのだぁっ!」       そしてヘルは、そのまま炎の中へと投げ捨てられる。     アヤ「鷹取ィィィー!!」       炎で次々と崩れていく室内。壁も柱ももう限界だ。    トート「パパ早くぅー」       支えきれず、トートもノイも、そのまま下敷きになってしまう。       それでも暴れ続ける雅史。ボーガンもワイヤーも効果がない。     ケン「くそぅ、こうなったら」       ケンは大きくジャンプすると、2階から雅史の背中に飛び移った。     オミ「ケンくん無茶だ!」       そう言っていたオミも、足元をすくわれる。しかも逆さ吊りだ。     ケン「オミィィーッ!」       雅史とどめを刺そうとしたが、オミを見て動きを止めた。     雅史「ま…も…る…?」       そのスキにオミは口に含んでいた針を、雅史の顔めがけて吹いた。     雅史「うあぁ……っ!」     アヤ「お前の住む世界は地獄だぁっ!」       アヤの刀が雅史の身体を切り裂いた。       今度こそ本当に、雅史は倒れた。         炎に包まれている館を、高台から見下ろしているシュヴァルツ。    シュル「なかなかやるじゃん。ヴァイスとかいう奴等」    ファル「楽しみだね」